Do the Right Thing

CINEMA

(C) 1989 Universal Studios. All Rights Reserved.

90年代初頭ブルックリンの「リアルな日常」を描いた問題作。

90年代と言いつつ公開は89年なのですが、
2020年の現在からみれば、
劇中の雰囲気(音楽・ファッション・カルチャー)は、
80sではなく、すでに90sのそれであると思う。

ナイキのバスケットシューズ(Air Fright系)に
メジャー化するヒップホップ、
エイトボール(ファッションブランド)が大流行で
マイケル・ジョーダン現役真っ最中で
スパイク・リーがまだ「新進気鋭」だった時代。
そんな頃のニューヨークの黒人街のある夏のお話。

「黒人差別」がテーマだけど、実は寅さん的な映画。

「Do the right thing」と言えば、
よく「黒人差別」を扱った作品として、紹介されているけれど、
キング牧師、マルコムXといった所謂「公民権運動」的な社会派な内容ではなく、
なんでもないブルックリンの人々の普通の日常が描かれている。

「黒人差別」がテーマだからといって、シリアスな重々しい感じではなく、
どちらかというと「寅さん」的な
笑いあり、涙ありのどたばた人生ドラマに近いと思う。

そういう意味では、
「差別問題そのものを考える」というよりは、
当時のリアルな雰囲気(文化/風俗)を楽しむことを主な目的として
見たほうが、愉しめる作品だと思う。

以下ネタバレ注意。

日常と背中合わせのレイシズムとバイオレンス。

柴又の「とらや」よろしく、
ブルックリンの「サルのピザ屋(sal’s famamous pizzeria)」を舞台に、
近隣住人達(アフリカ系 / イタリア系 /ヒスパニック系 / / アイリッシュ系 / 韓国系 )の
雑多で騒々しいけれど、「なんでもない日常」を軸にストーリーは展開して行くのだか、
「寅さん」と違うのは、
「笑いあり、涙あり」の「涙」にあたる部分が、
「人情」ではなく「差別 / 暴力」だということ。

1963年(奴隷解放から100年)の公民権運動から
26年後の1989年のブルックリン。
そんな近代化したニューヨークのど真ん中の黒人街で、
些細な喧嘩に駆けつけた、警官の行き過ぎによって、
1人の黒人青年が命を落とす。

白人警官の数名に囲まれ、
警棒で首を締め上げられ、窒息死した大柄の黒人青年。

そして、その映画から31年

白人警官の数名に囲まれ、
膝で首を締め付けられ、窒息死した大柄の黒人「ジョージ・フロイド」

出演陣が渋い。

スパイク・リー本人が、主人公を演じていて、
主人公の妹役はスパイク・リーのホントの妹ジョイ・リーが演じている。
今では超有名なサミュエル ・L・ジャクソンがローカルラジオのDJ役で出てたり、
レオンのトニー(料理店オーナー兼。レオンの雇い主)で
お馴染みのダニー・アイエロがピザショップの店主、
そしてその息子二人が、
ストレンジャー・ザン・パラダイスのエディー(リチャード・エドソン)
バートン・フィンクのジョン・タトゥーロだったり、
いぶし銀なメンツが揃っていて、
彼らの若い頃の姿を見るだけでもこの映画を見る理由になりそうです。

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。