パブリック・エネミーと学ラン

COLUMN

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その昔、イギリスの子どもたちは思春期になると、
MosになるかRockersになるか決めなければならなかった。
と何かの本で読んだが、
その昔、日本の子どもたちは思春期になると、
「ヤンキー」になるかどうかを決めなければならなかった(笑)

昭和から平成になった90年代初頭でも、
まだまだそんな雰囲気は残っていた。

そんなころ、
中学から高校への進学時期を迎えた僕らの世代は、
高校用の学ランを準備するのに、
「標準」学生服にするか、
それとも多少「変形」の学生服にするかを
結構、真剣に悩んだ人は多かったと思う。

そんなころ、テレビの深夜番組で、
パブリック・エネミー「Fight the power」のMVを見て驚いた。

MVは黒人差別反対デモの様子がモチーフとなっていて、
パブリック・エネミーを先頭に、多くの黒人群衆が町中を練り歩くのだが、
ボーカルのチャックDとフレイヴァーフレイムのすぐ後ろに続く、
親衛隊的(ブラックパンサー党のようなな出で立ち)な一段の中に、
明らかに日本の学ランを着た黒人が何人かいる。

「まさか」と思いつつよーく見てみても、
学ランをモチーフにしてMV用にデザインされた衣装ではなく、
絶対、日本の学生服をそのまま使っているように見える。

しかも、「トンボ」か「富士ヨット」か?とおぼしき、
中学1年生の入学式のような「ド標準」の学生服。
これからまだ背がのびるからと少し大きめサイズを着せられてる感がいなめない、
日本人だったらちょっと恥ずかしいぐらい「ド標準」の学生服。

最初は「だんだこれ、学ランじゃーん!」と笑ってしまうが、
見ているうちに、「あれ?これ、以外と渋くね?」と
その標準学生服が段々とカッコよく見えるから、あら不思議。

見終わる頃には、
これが今アメリカで最先端らしいし、
「俺も標準学生服でいいや。」と思うにいたる。
田舎の少年がヤンキー文化の呪縛から解き放たれた瞬間だった。(笑)

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