円谷幸吉の遺書
読むだけで自然と涙が溢れてしまう。
そんな文章があります。
円谷幸吉の遺書もそんな心に響く文章の1つです。
円谷幸吉は1964年の東京オリンピックの男子マラソンで
銅メダルを獲得し、27歳の若さで亡くなった、
福島県須賀川市出身の自衛官です。
僕がこの遺書のことを初めて知ったのは
20代の頃に見た高倉健主演の映画「駅 -station-」ででした。
その冒頭でテレビが円谷の自殺を報じるシーンがあり、
セピア色の円谷が走る映像をバックに遺書が読み上げられます。
その時、私は円谷については何も知りませんでしたが、
とつとつと読み上げれる、親族に向けたお礼とお詫びの言葉は
事情も何も知らなくても、聴く物の琴線に触れ
知らぬ間に、涙がポツリポツリとこぼれてきてしまいます。
きっとあなたも何を感じることでしょう。
父上様 母上様 三日とろろ美味しゅうございました
干し柿、もちも美味しゅうございました
敏雄兄、姉上様、おすし美味しゅうございました
勝美兄姉上様、ぶどう酒、リンゴ美味しゅうございました
巌兄姉上様、しそめし、南ばんづけ美味しゅうございました
喜久造兄姉上様、ぶどう液、養命酒美味しゅうございました
又いつも洗濯ありがとうございました
幸造兄姉上様、往復車に便乗させて戴き有難うございました
モンゴいか美味しゅうございました
正男兄姉上様、お気を煩わして大変申し訳ありませんでした
幸雄君、秀雄君、幹雄君、敏子ちゃん
ひで子ちゃん、良介君、敬久君、みよ子ちゃん
ゆき江ちゃん、光江ちゃん、彰君、芳幸君、恵子ちゃん
幸栄君、裕ちゃん、キーちゃん、正嗣君
立派な人になって下さい
父上様母上様、幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません
何卒お許し下さい
気が安まる事なく、御苦労、御心配をお掛け致し申し訳ありません
幸吉は父母上様の側で暮らしとうございました
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